覇王ときどき革命

中国・清末民初のお話など

2019-01-01から1年間の記事一覧

業行という人

大学1年の頃、友人に勧められて『北の海』という青春小説を読んで以来、井上靖の作品に数多く接した。 今も自分の心の中にひっそりと座っている作中人物が一人いる。 『天平の甍』に登場する入唐留学僧、業行だ。大唐にある経典を書き写し、そのまま日本に…

走馬灯とプリズム

机上の国語辞典で、「走馬灯」という言葉を引いた。 「回り灯籠と同じ」とある。 幼いころ、お盆の墓参りで見た、赤や青の光が回転している置き提灯を思い出す。昭和40年代の初めごろ、当時の提灯は、まだ、ろうそくの光が主流だったと思う。記憶にある光…