覇王ときどき革命

中国・清末民初のお話など

2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧

彼らの物語

「覇王と革命」を読んでいただいた方から、登場人物の性格付けについて聞かれたことがある。 ちょっと困ってしまった。 群雄の物語を書いたつもりでいる。しかし、歴史小説を書くかのように、一人ひとりの性格を、こちらで何かの型にはめたことはない。史書…

北伐のエース

1927年夏、要衝・徐州で蒋介石の北伐軍を撃破した孫伝芳の大軍が南下、8月25日夜、長江を北から南に渡った。目標は、南京。蒋不在の中、孫軍を迎え撃ったのは、広西軍を率いる李宗仁である。 前日、李宗仁は、軍艦艇に乗って長江を移動中、南京西方で…

宋教仁暗殺

1913年の3月20日夜、国民党の指導者・宋教仁は、見送りの黄興、廖仲愷らとともに、上海駅にいた。宋は、強力な政敵になるであろう臨時大総統・袁世凱が待つ北京に向かおうとしている。 「孫文、黄興など、気にするまでもない。遁初(宋教仁の字)の小…

高原の鷲

華北平原の西端から、大陸は突如天に向かって隆起を始め、巨大な台地群が波のようにうねりながら沙漠へとつながる。地表はパウダーのような黄土に覆われ、その底には石炭層が黒々と広がっている。山西は、そんな黄土高原に位置している。 1924年秋、山西…