覇王ときどき革命

中国・清末民初のお話など

2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧

下から迫る者

1913年に国民党軍を一蹴した大総統・袁世凱は、北洋軍内部の一人の軍人を凝視していた。 陸軍総長(陸相)の段祺瑞である。段は、軍の人事権を一手に握っていた。北洋軍高級将官の多くは、かつて軍人教育を担った段の教え子だった。 独裁者は常に、猜疑…

DF李純

静かな敗者がいる。 名を「李純」という。直隷系の首領・馮国璋の腹心で、代理大総統に就任する馮が南京を離れる際、江蘇軍政長官を引き継いだ。 1917~18年の湖南戦争では、南進して全国を統一しようとする段祺瑞の安徽軍を阻止しようとした。広東・…

妄想のレッドクリフ

細い雨の中である。短い坂道を傘をさして登り、その小さな丘から四周を見回すと、緑の木立と古い住宅が交じりあう街の光景があった。 ほんとにここか? そう思えてくる。だが、記念公園の正門の錠を開けてもらって入ったのだから間違いない。目の前には、国…

山犬の正義

1930年代以降、日本軍と戦い、蒋介石と対立し、共産党と協力した馮玉祥(ひょう・ぎょくしょう)は、中国では、「愛国将軍」と評価されている。だが、軍閥混戦期の言動が作り出す馮のイメージは、それとは違う。奉天・直魯連合軍の勇将・李景林の言葉が…

歴史に残る1票

日本が関東大震災に襲われた1923年9月、北京では、直隷系軍閥の総帥・曹錕(そうこん)と、国会議員たちが、大総統ポストを巡って熱い駆け引きを続けていた。曹側は議員に金を配り、見返りに議員は曹を大総統に選ぶ。その条件のすり合わせである。 天津…