覇王ときどき革命

中国・清末民初のお話など

2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

歴史のレシピ

※これまでに出した3冊は、いずれもほぼ同じ手順、方法で書いています。 『清朝滅亡』の「はじめに」にこう書いた。 「本書は、そのダイナミックな時代、とくに生身の人間の動きを、基礎的史料のほか、近年出版された史書や論文、報道などの新たな素材から再…

見書必買

2012年に『覇王と革命』を出して以降、拙著を読んでくださった方々から、しばしば同じ質問を受ける。「巻末の参考・引用文献に載っている中国の本はどうやって集めたのか」というものだ。 これについては、単純明快な個人的指針がある。 「見書必買」だ…

未完の革命

袁世凱が弁髪を切ったのは、一説によれば、清朝最後の皇帝・宣統帝溥儀が退位詔書を発表した1912年2月12日の夜だったという。前の月に革命党員に爆弾を投げつけられ、危うく難を逃れて以来、袁は外出を避けて自邸で執務しており、この日も朝廷に出仕…

進撃の逃走

内戦続きの中国近代史を書いていて、かなりの頻度で使う単語は「逃げる」、またはそれに類する動詞である。権力者であれ、軍人であれ、形勢が悪くなると、まあよく逃げる。多くの場合、戦わずして逃げる。その速度はすなわち、勝者側の進撃の速度となる。 『…